第1話「グズなカウンセラーに出会った日」
中学二年の野林小花は、いつも通り、ため息をつきながら保健室の前に立っていた。
四限目の授業が終わると同時に廊下を抜けて、もう何度目になるか分からない“放課後の約束”へと向かう。
「またこの時間か…はぁ」
扉の前には、彼女の名前が書かれたカウンセリングの予定表が貼られている。
理由なんて、簡単だった。彼女は少しだけ心が疲れやすいタイプで、学校に設置された“特別カウンセリング枠”の対象生徒になっていた。
そうして扉をノックして開けた、その瞬間だった。
「おっ、小花ちゃんか。来たか〜……ごめんちょっと待ってね、今さ、メダル交換のレート見ててさ」
パチンコの攻略サイトをスマホで見ていたカウンセラー、吉田先生は、机に肘を突いてダラけた格好のまま、小花を迎えた。
「……あの、先生って、本当にカウンセラー……なんですか?」
疑念を隠す気もない小花の声に、吉田先生はケラケラと笑った。
「んー? 一応国家資格持ってるけどね。人生ってのは、肩の力抜いてた方がうまくいくんだよ。で、小花ちゃんは今日はどんな気分? 落ち込み気味? それとも、マジで死にたい?」
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カテゴリー: 日記・エッセー
投稿日時: 2025/5/22 11:15
にゃの桜
本が好きで自分でも小説を書けるかなと思いアプリを入れました!
上手な事関係なく、楽しくやって行けたらと思っています!