第1話「グズなカウンセラーに出会った日」

 第1話「グズなカウンセラーに出会った日」
中学二年の野林小花は、いつも通り、ため息をつきながら保健室の前に立っていた。
四限目の授業が終わると同時に廊下を抜けて、もう何度目になるか分からない“放課後の約束”へと向かう。 「またこの時間か…はぁ」 扉の前には、彼女の名前が書かれたカウンセリングの予定表が貼られている。
理由なんて、簡単だった。彼女は少しだけ心が疲れやすいタイプで、学校に設置された“特別カウンセリング枠”の対象生徒になっていた。 そうして扉をノックして開けた、その瞬間だった。 「おっ、小花ちゃんか。来たか〜……ごめんちょっと待ってね、今さ、メダル交換のレート見ててさ」 パチンコの攻略サイトをスマホで見ていたカウンセラー、吉田先生は、机に肘を突いてダラけた格好のまま、小花を迎えた。 「……あの、先生って、本当にカウンセラー……なんですか?」 疑念を隠す気もない小花の声に、吉田先生はケラケラと笑った。 「んー? 一応国家資格持ってるけどね。人生ってのは、肩の力抜いてた方がうまくいくんだよ。で、小花ちゃんは今日はどんな気分? 落ち込み気味? それとも、マジで死にたい?」
にゃの桜
にゃの桜
本が好きで自分でも小説を書けるかなと思いアプリを入れました! 上手な事関係なく、楽しくやって行けたらと思っています!