夏の犠牲1

夏の犠牲1
あれは確か、8月のはじめの頃だった。 その日は、とにかく暑くて、まるで夏の終わりを知らない蝉のように、ジリジリと太陽は僕たちをしぶとく照らし続けていた。 …でも、まさか、あんなことが起きるなんて… 前日、僕は“古の供養”(いにしえのくよう)の代表に選ばれた。 “古の供養”とは、僕たちが住んでいるこの村、吐別村って言うんだけど、その村で毎年行われている行事だ。え?吐別村なんて聞いたことがない?まあ、周りは山に囲まれ、普通に生活していても村人以外会わないような、いわゆる孤立集落だから無理もない。
杜若
杜若
かきつばたです。多分不定期です。 あまり小説とか書いたことないので、変なところもあるかと思いますが、よろしくお願いします! (読者の心を掻き乱すような小説を書きたい...)