8 久しぶりの初恋

8 久しぶりの初恋
プシュケは、ハッとした。直ぐに、間違いなくそれは、自分の事だと分かった。プシュケという名は非常に珍しいもので、今まで同じ名前の人に出会ったことは無い。そこまで考えたあと、目の前の男に心当たりが付いた。その瞬間、涙が頬を伝う。「ねえねえ、その英雄っ子って、実はプシュケだったりして!……プシュケ?どうしたの?」隣に居るネネルが、男の言葉を聞いて揶揄ったが、その涙を見て我に帰る。 「…も、もしかして、ペトロさん…なの?」すると、男は一瞬驚いた顔をした後ニカっと笑った。 「やーっと気づいたか、この鈍チンめ!忘れられたかと思ったぞ!」その笑顔はあの時と変わらず、太陽のようだった。あの時は年に不相応な顔をしていたが、今は釣り合いが取れてダンディな男になっていた。 「ペトロさん!久しぶり、やっと年が顔に追いついたんだね。あのね、俺、あの時からずっと鍛錬してきて、もう村じゃ誰にも負けないんだ!」 「おぉ、そうか!もしアンブロシアは諦めました、とでも言い出したら、殴ってやるつもりだったんだがな!残念、残念…うわっははは!…それと、年が顔に追いついた、は余計だなー。」 「ひどいなぁ。俺がアンブロシアを諦める訳ないだろ!」 「それもそうか。いつまで経っても、お前はお前だな。あ、そうだ!お前に紹介したい奴が居るんだよ。」そう言うと、ペトロは後ろにいた女の子を前に引っ張り、肩に手を置いた。そこには、ラベンダーカラーから、紺藤色への美しいグラデーションを持ち、腰まで伸ばした毛先は白い。そんな髪を持つ綺麗な顔立ちの女性がいた。背はプシュケよりは小さいものの、ネネルより10センチほど大きかった。桜色の唇が、美しい少女だ。歳は同じくらいと見える。 「コイツは、ペレ。ペレ=ソレイユ。ソレイユ商会の長女で、俺の娘だ!」 「娘⁉︎うそ、ペトロさん結婚してたの?老け顔なのに?」 「失礼だな、お前。もっと驚くべきポイントあっただろ?」
あいびぃ
あいびぃ
初めまして、あいびぃです! 見つけてくれてありがとう♪ 私自身、生粋のアニオタ・漫画オタなのでファンタジーが多めになってます…多分。 詳しいことは「自己紹介」にて! まだまだ若輩者なので、応援よろしくお願いします! ※❤︎&コメはめちゃくちゃ喜びますので、私を喜ばせたい方は是非! 私の事が嫌いな方はオススメしません。