明日、ー

屋上の柵は、思っていたより低かった。 乗り越えようと思えば、簡単に越えられる高さだった。 風が強くて、シャツの裾がばたつく。グラウンドの声は遠くて、別の世界みたいに聞こえた。 「ここから飛んだら、どうなるんだろうな」 独り言のつもりだった。 「普通に死ぬんじゃない?」 後ろから声がした。 振り返ると、見たことない男子が、給水塔にもたれて立っていた。 いつからいたのか分からない。 「……誰」
叶夢 衣緒。/海月様の猫
叶夢 衣緒。/海月様の猫
綺麗事が救いにならない夜の話。 正しさに置いていかれた感情と、 救われなかった青春の残骸。 優しい言葉ほど、いちばん痛い。 2023年 2月27日start 3月3日初投稿