長い夜のその前に
僕は窓にへばりつくようにして、黄金色に染まる街を眺めていた。太陽はすでに西の大地に沈んでいた。いつもは多くの人が賑わう大通りも、今は誰もいない。
長かった昼が終わろうとしていた。十二週間の昼の後は、十二週間の夜がやってくる。人間達は皆、長い長い眠りにつき、次の昼までのエネルギーをためるのだ。
ゴオオンと空気を震わす低い音が街中に響く。薄命時間の終わりを告げる、街で一番大きなタイムベルの音だ。続いて五回の鐘の音が鳴った。六点鐘だ。
三十分ごとに一つずつ増える鐘の音、八点鐘が鳴る時、太陽が残した光も完全に消えて夜が訪れる。六点鐘ということは、薄命時間が終わるまで一時間だ。
「こら、光一。寝る準備をしなさい」
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カテゴリー: SF
投稿日時: 2021/9/25 7:54
アズマ
心に響く掌編をお届けします。
エブリスタ
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