彼女はバスに乗らなかった。

彼女はバスに乗らなかった。
 僕がバス停に行くと、凛と透き通った肌の女性がいた。  彼女はバスに乗らなかった。待っているのは降りてくる誰かだろうか。  その夕、まだいた女性に声を掛けてみた。 「誰かをお探しですか?」  彼女は驚いたように目を丸くして、徐に 「百日紅が咲くのを待っていました」と言って赤らむ雲に消えてしまった。
夜ヶ咲
夜ヶ咲
ファインダーの向こう側、ずっと君を探している。/140字小説とその下書き https://mobile.twitter.com/yorugasaki