#終 狂っているのは世界らしい。

#終 狂っているのは世界らしい。
 彼を傷つけた主犯、彼を否定した隣のクラスの担任、いじめを黙秘した校長。みんな殺した。高校などとうに辞めた。仕事?そんなの僕には必要ない。前と比べると同性愛にあまり批判は無くなったように思えるが、それでもまだ奴らのような者がいる。僕の次の目標は、僕らのような者にあたりの強い政治家。簡単ではないと思ったが、国会議事堂は、意外と簡単に潜入出来て、爆破するのも簡単だった。全員死んだかは分からないけれど、僕らを否定するアイツは死んだ。なんであれ死んだんだ。 あれだけ派手なことをしたら、さすがに身元が割れた。殺すのが好きでやった訳じゃない。彼のように傷ついて死を選んでしまう者がいなくなって欲しい。僕のような犯罪者が綴る言葉など響かないだろうけど。  最後に、彼や彼の両親にはなんの関係もない。これは僕が始めた物語だ。これ以上、彼らを追い回すのなら、化けてでも僕が殺しにいく。どうか、彼のような最期を迎える者がいなくなる事を祈る。  僕は、手紙を封筒に入れる。同じ物を大嫌いなテレビ局や、新聞社へ送った。彼と同じ所へなど逝けない。だけど、彼の幸せを願うことは許されるだろう。  天井から吊るされた縄の先は輪になっている。彼の苦しみを分かりたくて、同じ死に方を選んだ。輪に首を通して、椅子を蹴る。体重が首にかかり、締め付けられる。分かっていても苦しく、死が怖く思えてくる。彼はこんな思いだったのだろうか。守れなかった、彼の全てを。そんな後悔を抱き、僕は力尽きた。  奥村翔司の事件から、数ヶ月後。日本では、同性婚が認められる事が決まり、初の女性内閣総理大臣が誕生した。
赤木
赤木
学生 初めまして。拙い文章ですが気に入って下さるととても嬉しいです。BL作品、ほの暗い作品多いと思います。思いつきで投稿することも多いです。