発蛾

発蛾
第一夜 鉛のような夜だった。 溶けた蝋を流し込まれたような閉塞感。逡巡する思考は終着点には帰着せず、永遠の道順を辿り続ける混乱に不快感を覚える。何故という微かな問いも、霧のような思考の渦に溶けて消えてしまった。それらとは裏腹に、妙な軽さが心身を巡っている。何より、今まで感じたことの無い浮遊感が取り巻いているこの感覚は、人間のそれでは無い。 まるで… まるでそれは…
じゃらねっこ
じゃらねっこ
ねこじゃらしが好きなので、じゃらねっこです。