執着

 「あれ?陽君さっきまで使ってたハサミ何処にやったっけ?」 困った顔でそう問いかけをしてくる幼馴染の春に僕は平静さを保つ為に少し息を整えながら答える。 「………そこの箪笥の上から2段目の引き出しに仕舞ってある」 「えぇ〜………あ、あった!流石陽君!記憶力がいいよね〜いつもありがとう!」 「………ただ君が忘れっぽいだけだろ」 ついさっき使って仕舞ったハサミの場所を忘れるだなんて忘れっぽいを通り越して馬鹿なのかと思うが、学生時代の成績はそこそこ良く、お気に入りの物や人の事は忘れてはいないみたいなのでどうでも良い物に関しては本当にただただ忘れっぽいだけなのだろう………つい先月までは本当にそう思っていた。  春が僕の足の腱を切り二度と歩けない様にし、両腕も切断してここに監禁するまでは。  「むーーー!むーーーー!!!」 口をガムテープで塞がれて手足をインシュロックという結束バンドで縛られ床に転がされている女の人が非難する目で僕達を見ていた。
ナナシ
今日も静かに生きてます。 prologue様にも出没し、極々たまに小説を投稿してます。