チューインガムにご注意

チューインガムにご注意
 年の初めの挨拶は、氏神様にと決めている。  地元ではそれなりに大きなこの神社は三賀日の間、多くの初詣客で賑わう。  手水舎の冷たい水で清めてかじかんだ手で、本殿に参拝した私は、年始恒例の運試しをしようとおみくじを引く列に並んだ。  この神社のおみくじは六角形の筒から棒を引くタイプのおみくじで、その内容は吉凶の運勢とありがたいお言葉の二つだけというシンプルなものだ。  百円玉を箱に入れ、竹筒をガラガラと振る。棒に書かれた番号を確認した私は、その番号に割り振られた棚から、裏返したままの紙を一枚取った。  去年は確か吉だったから今年は大吉だといいな、なんて呑気に油断していたからか、紙を表に返した私は衝撃を受けた。 「凶……」  こんなものはただの占いに過ぎないとすぐに自分を慰めてはみたものの、その一文字から溢れるそこはかとない負のエネルギーに、新年早々私の心は打ちのめされた。  考えてみれば凶なんてものを引いたのは、人生二十数年生きてきた中で初めてのことだった。それこそ小さい頃は無垢な心のおかげかよく大吉を引き当てたものだが、ここ数年の運勢はどれもパッとしなかった。だがそうは言っても、あくまで一貫して普通のラインを行き来していたはずだった。  それがここに来てのこの運勢だ。
あまもよい
あまもよい
 真夜中の通知ごめんなさい。