はじまり。
私しか知らない静かな近道、今日もコツンと足音が響く。まだ薄暗い登校路、路地裏から顔を見せる猫。今日も灰色の世界に一歩踏み出す。
まだ誰もいない校舎。チャラリと教室の鍵を鳴らしながら廊下に足音を響かせる。教室に響く時計の音、昼になればみんなの笑い声が聞こえる。
静かな教室にたった一人、窓の外を眺める。朝の空気に満たされはじまりの音を聴く。
世界の呼吸だけが聴こえる、暗く静かな学校が私は好きだ。
いつもは笑い声が聞こえる校舎も、今だけは私のものみたいに。
昼になれば男子とうるさく笑い合うような私も、静かな世界を独り占め。
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カテゴリー: 日記・エッセー
投稿日時: 2025/10/5 16:08
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