祓い屋のお仕事 6

タンっと軽快な音を立てて矢が的を射る。淡い茶髪の柔らかな髪がそよ風に揺れた。深緑の瞳をした美青年はふぅーっと息を吐いて自身を落ち着かせた。大学で弓道部に所属する射雨 緋色(いさめ ひいろ)は弓の名手であった。彼が矢を放ち終わると後ろから控えめな拍手が聞こえた。 「流石ですねぇ。」 声は低く、男の声。さも当然だろうという感じであった。声の主は黒髪黒瞳の和装美人。着物は男物だったが黙っていれば女性と言われてもおかしくない程だった。彼は八染 綴(やぞめ せつ)。射雨の同業者。妖祓いを生業とする祓い屋であり、射雨家の資金援助をしてくれている。(条件付きで) 八染の声を追って顔を見るなり、射雨は彼の手を掴んで外へ連れ出した。人気のないところで射雨は彼を問い詰める。 「なんで此処にいるんだ!学生じゃないだろう?!」 射雨の顔はどこかげんなりしていた。対して、八染はニコニコで上機嫌だった。 「暇だったので、つい。お上手でしたよ?」 「そうじゃない…!」 八染の調子に狂わされ射雨は顔を手で覆う。 「まぁ、本当は依頼がありまして」と八染が懐から一通の手紙を取り出す。真っ白な封筒には「八染家当主様」と達筆な字で書かれてあった。
赤木
赤木
学生 初めまして。拙い文章ですが気に入って下さるととても嬉しいです。BL作品、ほの暗い作品多いと思います。思いつきで投稿することも多いです。