人間に近づいた亀

人間に近づいた亀
「見下されていることを自覚している限り、君が下なんてことはないんだよ」  人間の手から餌をもらい生き永らえる心得を先輩のカメはそう後輩たちに伝えていた。この小さな桶から出られず、何をやっても勝てない僕ら。そんな惨めな僕たちを笑う人間から、醜く首を伸ばし餌をもらう。何度も執拗に伸ばされた手に握られたペレット状の餌は、愛玩と同情が混じり出来ていて同量の侮蔑が滴っていた。 「いい?醜く生まれたのだから醜く生きるしか選択肢はないんだ。空を見ても羽根は生えてこないし、外へ出ても生きてはいけない、そして助けてくれるナニカはやってこない。だからこそ、僕たちにこそ、生きる為に自分より下の存在を作る必要があるんだよ。」  僕たちは人間を見下した。亀を囲い、悪趣味な名前を付け、自由を奪い、下らない日常の足しにする下劣な人間を。  見ろ、見ろ。自分が見下されてるとも知らず、餌を運ぶアノ猿を。  あまりに直接的で下品な侮辱の仕草を。  アイツには見下せる人間がいないから、亀なんて飼ってるんだぜ。
エズエシ
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糞ガキを野球のバットでぶっ叩け