Cover.

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楽しい。 一緒に戯れる時間ほど楽しいものはない。こんな時間が永遠に続けばいいのにと思った。その子は6歳ぐらいだろうか。年下の兄弟とベッドで飛び跳ねている。母に見つかると怒られることなど今は頭にない。年下の兄弟がふざけて毛布の中に入った。その子からすれば年下の兄弟はいま見ることができない。その子の高揚していた気分は、不思議なことに残忍な好奇心に変わった。その子は年下の兄弟の上にジャンプしてみる。どう思われるなんて知ったことか。年下の兄弟がもがいている。しかし、そんなことその子にはなんてことないように感じられた。繰り返しているうちに年下の兄弟の抵抗がなくなり、泣き声が微かに聞こえてきた。突然、毛布がめくれて泣いている年下の兄弟が見えた。その瞬間、今までの興奮は嘘のように引いていき、その心は罪悪感で溢れかえった。年下の兄弟が母のもとに走って泣きついた。 その子はその後これまでにないほど怒られた。 その出来事は、時間が経てば忘れられるはずだった。兄弟喧嘩で済まされるはずだった。 けれど似た光景を、"私"は何度も別の場所で見ている。 なぜ、こんな話をしたのか疑問に思うでしょう。こんな酷い行為見ていて胸糞が悪くなると思われる方も多いでしょう。しかし、相手が半ば隠されたように直接的に見えないとき、人はどうなるか、知っていますか? スマートフォン。便利な道具ですね。SNS、使っている人も多いと思います。なぜこの名前をあげたかわかりますね。それらは相手が見えないときに人が残忍な行為を平気で行ってしまう典型例です。画面の向こう側。名前も顔も見えない誰か。しかし、そこを言葉は簡単に踏み越えられます。このようなことは他にも多々あります。人種、国籍、性別が相手を隠し、人として見られなくする場合もあります。これらのことを聞いて体裁が悪くなったあなたは「そんなものプロパガンダに騙された戦時中の国民がするものだ」「そもそもあっちが迷惑かけてくるのが悪いんだ」と苦し紛れに言うかもしれません。でも、そう言い切ってしまえるほど、人は簡単に正しくなれるのでしょうか。物語で名前をつけないでその子と呼んだのは誰でも当事者になる可能性があるからです。年下の兄弟と呼んだ理由も、もうわかりますか?人は自分より弱いとわかった瞬間どこまで踏み込んだことをやってしまうのか。そしてあなたはその気持ちを抱き、行動に移してしまうのか。答えはあなたが自分で決めることです。私は一切知りません。 そして最後に。 物語では、母が叱ってくれました。
June 4
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大好きな作家は星新一と東野圭吾、小松左京です。 「多彩な想像力で、感嘆を」をスローガンに頑張ります。