第3回NSS P i a

第3回NSS         P i a
「おじいさん、あれは何です?」  空が真っ青に澄み渡った、気持ちのいい春の日。  山を登っていると、頂上の方から風に乗って、ピアノの様々な音が折り重なったような透んだ音色が漂ってきた。  あたりを見回しても、見えるのは緩やかにうねり広がる若草色の山肌と、点在する黒い岩や林だけで、ピアノや人の姿はない。 「ああ、あれはピアという音奏草ですよ」  私の問いに、案内の老人はそう答えた。こんなふうに開けた日当たりのいい所に時たま現れる草です。風に吹かれるとああやって、楽器のような音を出すんです。  へぇ、何とも美しい音色ですねぇ。  音奏草達のハーモニーに耳を澄ませて、ゆっくり歩みを進めているとふと、足元からの可愛らしい跳ねるような音に気づいた。見ると、葉の先端が丸く膨らんだモーブ色の花が、そよ風の中楽しげに揺れている。 「それがピアです。音奏草は通常群れているんですが…それははぐれ草なのかなぁ」
Tentomushi
Tentomushi
初めまして。Tentomushiと申します。 学生です。よろしく。