風鈴

風鈴
 深夜。田んぼと家々に囲まれた田舎道。  ゲコゲコと響くカエルの合唱のなかに、カタン、カタンと開閉する音が混じる。  明かりはない。  チリンと鳴った風鈴に立ち止まる。  透き通る、真っ直ぐな音色。人がいないにしては騒がしいこの道で、唯一はっきりと聞こえた。  プラスチック製の短冊が白く磨り減り、歪に欠けた風鈴が垂れている。風もないと言うのに、優しく揺れてはっきりと鳴く。  ——チリン。  眩しかった。
白椿
白椿
主に小説を書いてます。 気まぐれ投稿です。