嫌な音ラッパ

「面白いものと手に入れたぞ」  友人である藤本の家で、放課後に集まってのんべんだらりとしていたら、藤本が堂々と切り出した。 「面白いもの?」  もう一人の友人である田中が、スマホから顔を上げて反応すると、藤本はキラキラした顔で話し出した。 「そうなんだよ。これだ。その名も嫌な音ラッパ!」  ……なんかのパーティーグッズか?  ジト目で見ている俺の視線に気づいたのか、藤本は指を振った。 「おいおい、水口。何でもかんでも否定から入るのは、良くないぜ? こいつは、なかなかの優れものでな。対象者に向けてラッパを鳴らすと、その人が嫌がる音を出せるんだ」 「すごいかもしれないけど、使いどころあるか?」  田中が言う。
きと
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。