悲観的推測

深夜一時、家族が寝静まった音のない家に、ガラスの割れる音が鳴り響く。 やってしまった。一瞬の気の緩みから、コップを落としてしまったのだ。悔やんでも悔やみきれない。普段の僕ならこんな失敗するはずがないのに。 母はきっと、割ったコップについて詰問するだろう。 『なぜ割ったんだ』 『いくらすると思っているんだ』 階下から人の動く気配がする。下は両親の部屋だ。何を言ってるかはわからないが、会話しているようだ。 父はきっと怒るだろう。
絵空
絵空