荒廃したこの世界は今日も美しい・4

荒廃したこの世界は今日も美しい・4
《残骸の廃棄場:ダロン視点》  タイプγ。攻めよりも守りの能力に長けており、時には他のデバグロイドを他の攻撃から守備する事もある。  眼前に聳える球体も、そんな防御特化のデバグロイドの一種だ。戦闘経験はあるが、記憶にある個体のうち楽々と倒せた物は一匹もいなかった。つまり、短絡的な意気で倒せる相手ではない訳だ。  いつ先制してくるかと待ち構えていたが、その機械生命体は鉄の積み上がった小山の影からじーっとこちらを見つめるだけだった。 (俺がお仲間を二人ともとっちめたから、警戒してんだな) とうに機能を停止しているであろうスピード特化とギミックタイプのデバグロイドをそれぞれ一瞥する。  実際の所、それはあり得なくもない話だった。デバグロイドは、基本的に同胞の死を悔やむような真似はしない。そんな命令は下されていないからだ。 その代わりに行うのが、“同胞の死”を基にした相手の実力の算出である。こちらを見たままぴくりとも動かないという事は、簡単な話、ダロンに臆していると捉えて良い。 俺は腰に手を当て、ふうっと安堵を示した。
クリオネ
クリオネ
来年度まで活動休止中〜♪ リハビリ感覚でたまに短編を投稿するかもです。 ※注釈※ 時折り過去話に手を加える事があります (大きく変えた場合は報告します) 定期的なご確認をお願いします。 novelee様の不具合か、 長い文章の一部が 途切れている場合があります。