3話 焦りと安心

3話   焦りと安心
階段を段飛ばしで降りていく。さっきの人影は私が最初立っていた玄関の近くだった。早くしないと帰ってしまうかもしれない。もし、この不思議な現象がタイムリープではなく、脱出物であれば学校から出れなくなってしまうかもしれない。考えすぎかもしれないけど、万が一がある。状況がしっかり把握出来てない限り安心はできない。グルグルと頭をフル回転させながら最初に通った廊下を駆け抜けていく。ふと思った。あの人影が自分に危害を加える者だったらどうしよう…と。渡り廊下を渡り終え、上履きを手に持ち靴下のまま静かに廊下の角から玄関を覗く。そこに居たのは、1年生の時の担任の由佳子先生だった。本物かな?と少しずつ身を乗り出して観察する。すると由佳子先生らしき人がこちらに気づき、懐かしい可愛い声が聞こえた。 「琉亜さん?そこで何してるの?」 私は誤魔化すように笑いながら先生のところに駆け寄る。 「由佳子先生こんにちは。今日って何曜日でしたっけ?」 先生はキョトンとした顔をしてすぐに笑いながら答えた。 「琉亜さん、今日は月曜日だけど祝日で学校は休みだよ!」 焦りながら早口で嘘をつく。 「あっ、そうだったんですね!間違えて登校しちゃいました!生徒は休みだけど先生は休みじゃなかったんですね。大変ですね!」 先生は、また笑いながら私を慰めるように話す。 「そういう時もあるよね!そうなのよ、先生は休みにならないのよ!琉亜さんは、今から帰るところ?」
障子メンタル
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超ど素人です。 私の妄想をマイペースに投稿しています。 句読点を無駄遣いするような文章を描きます。 温かい心で読んでいただければ幸いです。