夜明けの窓にたつ

夜明けの窓にたつ
 朝起きると、空はいつも通りである。鳥も、風も、目覚ましの音も。まだ暗んだ空は三年間、いや、おおよそ私が生きてきた間変わらず朝を抱き止めてそこにいる。或いは四十六億年そこにいる。ただ夜を送り、朝を迎える。  カーテンを開けると僅かに東の空が明るんでいるのが見える。夜が明ける、空が白む、朝になる。言い方はなんでもいいが、とにかく私にとっては始まりであり、誰かにとっての終わりの時間がやってくるのである。  窓を開けてみる。いつもは開けない。さあっとした冷たい風が部屋の空気と混ざる。私が外と混ざる。この世は同じことの繰り返しであろうか。パターン化され、機械的な日を私たちは消化するだけであろうか。否、否であって欲しい。私は窓を開けた。  そういうことの繰り返しなのだ。日常に小さな変化を織り込んで、大きな変化に備える。昨日のようでいて、まるで違う今日を踏み出す。  私は明日も窓を開けよう。狭い箱に冷たい空気を送ろう。私の肺に新鮮な風を与えよう。これが一歩めなのだ。そして旅立つのである。知らない世界へ行くことほど怖いものはないが、その場に留まり続けることほど恐ろしいものはないのだから。  今日は卒業式である。それは終わりか、始まりか。
ひるがお
ひるがお
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