プレミアムサバ缶

プレミアムサバ缶
 これ1缶あげるわ。 実家に寄って母とだらだらとおしゃべりして、いつも通りお土産を渡されて、帰ろうとした玄関で、ついでにと渡されたサバ缶が1個。 「大阪のお義姉さんからお土産にもらったのよ。3缶あるからお裾分け」 青と金のパッケージは高級そうに『プレミアム』と書かれている。 「貰っておいてなんだけど、お土産にサバ缶ってどう思う?そりゃあね、最近サバブームだけどねぇ」 母が不満そうにくどくどと話す愚痴を聞き流して、受け取ったサバ缶を鞄に入れる。 仲が悪いわけではないのだけど、母はたまに叔母や祖父母の愚痴が止まらなくなる。これが小姑ってやつなのかもしれない。 「お母さん、さっきのサバ缶の値段知ってる?」
腹黒兎
腹黒兎
小説家になろう でも執筆中。 のんびりマイペースでやらせてもらいます。