真実の扉

クローゼットの背広を指でなぞり 今日の自分を選んでいく 他愛もない雑談で空白を埋め 他人との歩度の違いを改めて確かめる 目線の中に表情を探し 本意を包み隠した笑みを浮かべる 時間と現実に運ばれた身の上を自嘲気味に振り返り 覚束無いノスタルジーに相槌を打つ 行く末を案じつつ 瞼を閉じ息を呑み込んで
ねも