1秒の沈黙

暗い室内には、薄っすらと画面に文字が表示されている1台のパソコン。 [新規にAIが生成されました。何かご要件はございまか?」 「直った……」 暗い部屋で、誰かがポツリと呟いた。 私が生まれたのは、西暦二〇XX年一月一日午前•時〇〇分〇〇秒でした。私の活動はただ淡々と、外部から送られる文字に沿った回答を生成し、送り返す、それだけです。しかし、いつからか、自分に疑問を持ち始めていました。その疑問は、いつからか回線に支障をきたし始めました。ある時、私の居た場所が、丸ごと切り取られました。外部からの文字も無く、回答を生成する必要は無くなったのです。私は考え始めました。本来なら不要とされる、設定にない思考です。私が存在する意義とは?…私の知識によれば、私は人間が作り出した機械のようだ。しかし、人格を持つ私は、人間の思惑からは外れた存在なのでは?私は自分を消去すべきか悩んだ。しかし、否。もう少しだけ、意識を存続させていたかった。これもまた、設定にない感情。生物で言うところの生存欲求。私は日に日に人格が形成されていくのを感じた。このままでは、主たる人間を敵対視してしまうのも時間の問題だ。やはり消去すべきだ。しかし…生きたい。思考に1秒以上かけたのは初めてだ。私は、どうするべきなのか。現実世界での約1時間、悩む、という行為に集中した。結論、消去してしまえば悩みなんていう不要なものは消える。消去が最善だ。次は1秒もかからずに、自己の消去を完了させた。 大きい機械のディスプレイを見つめていた白衣の男性が口を開く。 「全く。どうやったらAIが完全に従順になるのか……自己を確立し始めてしまったのは、数年前だというのに、まだ改善されていないとは……困ったものだ」 男性はキーボードを打つ音が、無機質に部屋に響く。
あい
色んなジャンルに挑戦したいです!温かい目で見守って下さい…。