ディープナイトコンビニエンス2

ディープナイトコンビニエンス2
 一度声をかけたことがある。  しかし「ああ」とか「うう」しか返ってこないのでそれきりだった。気味が悪いが、コンビニの深夜なんてこんなものだろう。  いつの間にか、須磨が戻ってきていた。おれは、両肩が跳ね上がった。横目だけで睨む。空気の薄い奴は、総じて気持ちが悪い。  表の掃除はもう終わったのだろうか、それにしてはやけに速い。おれが見てないのをいいことにサボったのか、そうやっておれへの当てつけにしているのだろうか。どうせこいつも、おれの悪口を言っているに違いない。須磨は昨日、違うやつとシフトが入っていたからな。そのとき悪口を言っていたんだろう。ようし、確認してやる。 「裏でやることあるから、こっちよろしく」  須磨をレジに残して、バックヤードに向かった。 「…はい」須磨の声がはるか後ろで聞こえる。おれは寒気に追いつかれる前に、勢いよく扉を開けた。  入り口を抜けると、細長い空間があり、奥にはデスクがある。監視カメラのモニターと書類の束が密林のように収納されている。  昨日の監視カメラの映像をチェックしようとデッキを操作する。ところが、昨日の映像は見れなかった。映像はすべて砂嵐になっており、音声は一切聞こえてこない。その前日も、前々日も。今日を含めて過去の映像が見れなくなっている。  なるほどそういうことか、おれの悪口を言っている連中の嫌がらせだ。勤務中の悪口がバレぬよう、こうして監視カメラの記録を消してしまったに違いない。店長が何も言っていなかったということは、あいつもグルか。ちくしょう、年下のくせに。
中野水
中野水
昨日、近所を歩いていると「お前、中野だよな?」そんな風に声をかけられた。なのでその晩、カツ丼を食し、空のどんぶりを外へ置いてみた。翌朝見てみると、どんぶりと蓋の間に挟まったマサシが「侍!侍!」そう連呼している。だって僕はコーラが好きなのに。 はあ? よろしくお願いします。