追悼
何をやっても上手くいかない。人生はどうしてこれほどまでに試練を与えるのだろうか。
と、まぁこんなことを言ってみた。君は手紙の書き出しを見て僕が人生に絶望したとでも思っただろうか。答えは“否”。当然僕はまだまだ生きるし、君のように死にたいと思うことも無いよ。
僕はね、君の手紙を読んで今返事を書いている。だから指が疲れたよ。ほら、手も見てくれ。こんなに鉛で黒く染まってる。たったこれだけの文字数で?と思うかもしれない。僕は筆圧が強いんだ。君ならそれくらい知ってるだろう。
話を戻そうか。君は僕に教えてくれたよね。死なない理由を作ってあげろって。でもな、残念ながら僕はそんな大層なことは出来ないんだ。並大抵の人間は皆そうさ。死にたいと思うやつに死なない理由を作れるほど自分に自信がない、余裕がない、そして時間がない。当然の事だ。死にたいと思うやつは死ぬことしか考えてない。そこに無理矢理介入していく人間なんて、ただの邪魔としか思えないんだから。
どういうことか簡単に説明してやるよ。
“自信がない”のは自分に価値があると思ってないからだ。死にたい気持ちを止められるほど価値のある人間じゃないからな。
“余裕がない”のは自殺を止める当人も心に負担がかかるからだ。止めなければならないことを最終的には義務的と捉えて、その後で自殺されたら自分にも責任を感じることに、心のどこかで気付いてるんだよ。だから関わらないんだ。
“時間がない”のはただそのままの意味だ。自殺志願するやつはもう残された時間が少ない。大体周りが気付くのは死のうと決意した後なんだからさ。その短い時間で助けるなんて9割無謀なんだよ。
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2023/11/6 10:49
最終編集日時: 2023/11/6 10:52
維千 / ichi
お時間のある時に貴方を1000字の世界へ。
ご高覧いただきありがとうございます。
【人狼ゲーム】11月14日より連載中