奏でる

「先輩、まだ来てないのかな」 放課後、誰もいない部室に呼び出された私は、何時ものように吹奏楽部の部室へ向かった。 ドアを開け、その辺の机に腰掛けると自分の楽器ケースを開け、少し緑色の錆の目立つサックスを手に取る。 ストラップを首にかけながら譜面を開いて、課題曲の指運びを何となく練習してみる。 「ここが、ね」 ソロパートへの繋がりがどうしてももたつく。これでもっと音量を上げろというのだから、先輩も無茶なことを押し付けてくるものだ。 トランペットを華々しく吹く先輩の姿が脳裏によぎる。 それから、私の身体に夢中になって腰を叩きつける彼の姿も。 「…っ」 思わず、ぎゅっと足に力が入った。
hayama_Yui
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書き散らし。 投稿は不定期更新です…