電話口の息子

妻はよく息子と電話する だが「あなたも話す?」と 受話器を差し出されても 俺は理由をつけて断った 息子はもうこの世にいないから 不妊治療の末の流産だった 妻は事実を受け入れられず 空想上の息子を創り上げた
東真直@短編を書く人
東真直@短編を書く人
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