おともだち

 おともだち
 「ぱぱにはおともだちはいるの?」  幼い我が子が聞いてきた。  まあ、確かに俺は交友関係が広い方ではない。  毎日決まった時間の決まった電車で同じ会社に行き、毎月同じ仕事をこなして、毎日ほぼ同じ時間に帰る。  特に飲み会が好きなわけでもなく、SNS上での気軽なやり取りはあるが、友人と呼んでいた人達には現実では何年も会ってはいない。  「そうだね、友達はいるけど何年も会えていないね。」  「あえないの?」  「みんな忙しいからね。遠くにいたり、お仕事が忙しかったりね。」  へんなの、とでも言いたそうなよくわかってない顔で我が子は俺の顔を見ている。  「じゃあ、あえるおともだちはいる?」
紫水
紫水
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