荒廃したこの世界は今日も美しい・7

荒廃したこの世界は今日も美しい・7
《ダロン視点:ハネネズミの巣・斜面》  砂地に埋まっていた黒いデバグロイドの中には、少女と思われる人間が一人静かに横たわっていた。天秤が警戒心よりも好奇心に傾いていたダロンの前で、人間が入っているカプセルの側面がチラリと光った。とうとうその扉が開くのである。  カプセルの内側と外側が僅かながらに繋がった瞬間、白煙のような気体が隙間からブワッと流れ出した。咄嗟に身を仰反る。 「うわっ。なんだこれ、煙?ってか冷た!」 驚いた事に、気体は足首の方に向かっては塵のように消えた。 「ま、まさか毒じゃねえだろうな⁉︎」 毒には良い思い出がない。かつて猛毒使いのデバグロイドと戦ったが、その時に喰らった毒のせいで討伐後三日は動けなかった。今でもトラウマである。 その時の毒も(もっと嫌な色だったが)、こんなふうに変な挙動をする流体だったのだ。 「ックソ、やっぱ攻撃手段あるじゃねえか!」
クリオネ
クリオネ
来年度まで活動休止中〜♪ リハビリ感覚でたまに短編を投稿するかもです。 ※注釈※ 時折り過去話に手を加える事があります (大きく変えた場合は報告します) 定期的なご確認をお願いします。 novelee様の不具合か、 長い文章の一部が 途切れている場合があります。