勇者の恋は みのらない

勇者の恋は みのらない
「ちゃっすー…」  サークル室のドアを開けると、今日も先輩は一人だった。 「やぁ、君か」  先輩はゲーム機の画面から少しだけ目を離して、こちらを見た。 「今日は何やってんすか? またドラクエ?」 「あぁ、3だ……」  先輩は少し哀愁のような空気をまとって、気怠そうに答える。 「どしたんすか」  先輩のクセに生意気な。 「フム…少し、昔を思い出してね……」
四季人
四季人
挨拶がわりに「読んだ記念」していくおじさん。