ワインの血

ワインの血
「私の身体にはワインの血が流れている」  新宿にある古い雑居ビル2階のバー、そのカウンター席で、ワイングラスを片手に女はそう言った。 「へー、そうなんだ」  隣に座る男は興味なさそうに答え、ウイスキーのロックを口に運ぶ。 「そうよ、私は毎日ワインを飲み続けているの。私の身体はワインでできていると言っても過言じゃないわ」  男はため息をついた。そして、心の中で彼女に向かって言う。 『白ワインを飲みながら何言ってるんだよ。せめて赤ワインを飲みながら言ってくれよ。もしくは、君の血は白いのか?』  心の中で言いたいことを言い終え、男は作り笑いをして彼女に言った。 「そっか、かっこいいね」
Jumpei
最近本を読み始めました 家にダンベル欲しい