過去を売った女・終

過去を売った女・終
春の陽気な光が窓から差して、一人の少女が目を覚ましました。 「あれ…私、何で泣いてるんだろ。」 少女は、手で涙を拭うと、直ぐに一階へ降りていきました。 「あら?目を覚ましたのね。ユシア、顔洗ってきなさい。少し遅いけれど、朝ご飯を用意しておいたから、一緒に食べましょう。」 「ありがとう、お母さん!」 母がテーブルにナフキンを敷きながら、少女ユシアに語りかけます。ユシアは、大変にお腹を空かしておりましたので、喜んで顔を洗いに行きました。しかし、顔を洗い終わるとふと、違和感を感じました。何かポッカリと穴が空いたような、不思議な感覚があったのです。何か足りない、そう思いました。 「いつもなら、この時間はマーティンがおはようって言ってくれるはずなんだけどなぁ。体調でも悪いのかしら。…あれ?マーティンって誰だっけ。私ってば、まだ寝ぼけてるわね。」 ユシアは、寝ぼけた顔をもう一度洗い直しました。まだ開きっぱなしの心の穴を放って置いて、ユシアは朝食を食べ始めます。しかし、それでも心の穴は、ユシアの心の中に妙な異物感を残しました。何だろう、何かが足りない…何が足りない?何かが無くなった? 「…マーティン。マーティンよ!マーティン・ウォールド・スミス。」 「ユシア?そのマーティンって子がどうかしたの?」
あいびぃ
あいびぃ
初めまして、あいびぃです! 見つけてくれてありがとう♪ 私自身、生粋のアニオタ・漫画オタなのでファンタジーが多めになってます…多分。 詳しいことは「自己紹介」にて! まだまだ若輩者なので、応援よろしくお願いします! ※❤︎&コメはめちゃくちゃ喜びますので、私を喜ばせたい方は是非! 私の事が嫌いな方はオススメしません。