今年の『夢見草』

今年の『夢見草』
 「今年の桜はいつまで続くかな。」    欄干にもたれ掛かる。桜並木に押し寄せる人々の喧騒は他所にして、私は全体を見渡せる陸橋から見下ろしていた。桜雲のこの景色。此処は皆が知らず、特集もされていない穴場中の穴場。人が居ないという優越感が堪らない。  今年の桜は早咲きではあったが、咲いた後は冬が返り咲いたかのように寒くなったから長く持つかなと思考を巡らせた。正確な期間を言い当てるなんて妙で出来やしない話であるのに。  鳥のさえずりが喧騒を心地良さとして昇華した。  まだ花筏は出来ていないけど、この景色は春一色に染まり切っている。桜は咲き始め、私達を和やかにし、魅了する。流石は『夢見草』だ。  雀が花のまま落とすのも少ないがもう素敵な春が訪れ、私達が忘れるまで桜は咲き続ける。  花衣を身につけた未完成な戦士も、今日は花人となってこの混沌とした現世を笑かし、和ます。  さて、今年度も騒々しい良い暮らしをしようか。
雨傘空々
雨傘空々
初めまして、放置しすぎてアカウントを変えて低浮上となりますが投稿していきます。 前アカウントの『雨傘凪』のアカウントは人がいない状態ですので此方で更新していきます。