真実

洋風の美しい建物が並び、その街並みに良く似合うパン屋やレストラン等の飲食店。キラキラと輝く硝子や小物で溢れながらも、派手に感じない上手く組み合わさった洒落た雑貨屋。そんな煌びやかな物ばかりあるものだから、この通りは観光客やら雑誌の記者やらが集まって来て毎日賑わっている。 だが今日のここの通りは観光客たちだけでなく、カメラマンやら記者やらが大勢集まっていた。もっと正確に言うのであれば、ここの通りではなく、通りの隅に小さく建っている家を取り囲むようにして集まっていた。それは何故か、至って簡単でありふれた話である。取り囲まれている家の家主が殺人を犯していながらも釈放されたからである。 家主はスズという名の20代前半の女性、スズは交際相手であるカズキを殺した犯人だとのこと。スズとカズキが喧嘩をして、その時スズは近くにあった花瓶をカズキに投げつけ、それが運悪く頭に直撃した…と。 そしてこういった話は民衆にとって需要がある。需要がある話がそこにあれば態々それを発信する記者が集まるというのも、また当然である。 この経緯があり、スズの家は記者に囲まれている。しかも囲まれているだけではなく、記者たちは人の家だと言うことを忘れたのか、鍵をかけられ閉められたドアを叩き叫んでいる。
みっさん
みっさん