【超短編小説】「ありがとう」

 眠れない夜、車に乗って、あてもなくドライブをしていた。  コンビニに立ち寄りコーヒーを買って、それを車内で飲んでいる時、ふと死んだ母親のことを思い出した。  会いたい。  私はカーナビの行先検索に「おかあさん」と打ち込んだ。  カーナビが一呼吸置いて、 「ナビを開始します」  とつぶやいた。  コンビニを出て、ナビに従って車を走らせた。  やがて夜明け頃、車は海に着いた。 「ナビを終了します」
六井 象
六井 象
短いものを書いています