メルカリ
メルカリで教科書を買った。生協で買うと10%引きだが、メルカリだと大体半額以下で買えるので愛用していた。今回は2500円の教科書を700円で落札した。
同じ教科書を使っている人はまあ同じ大学の誰かだ。だから毎回変な気持ちになる。この大学にいる見ず知らずの、あるいは知り合いかもしれない誰かから教科書を買っているのだ。アプリの力ってすごい。
届いた教科書は綺麗でほとんど未使用に近い。ラッキーと思っていると教科書からひらひらと何かが落ちた。拾い、読んでみると小さな丸文字で「ありがとうございます😊機会があればまたよろしくお願いします❤️」と書いてあった。
顔が真っ赤になり体中を気力が駆け巡った。生まれて初めての女性からの手紙だ!恋だ!恋が始まってしまったのだ!
このままこの教科書を学校に持っていけばきっと彼女に会える。たまたま大教室で教科書を読んでいたら「あれ?それ私の教科書じゃないですか?」と声をかけられる。信じられない出会い方だが、現実は時に脚本を超える。彼女はその文体に似つかわしい気遣いのできる人だった。それがきっかけで毎週授業を一緒に受けることになると、徐々に親交を深めていく。山場のテストを乗り越えたタイミングで「お疲れ様会」に彼女を誘う。2人で夜の街に繰り出していってそれから…。
「迅速に対応していただきありがとうございます。機会があればまたよろしくお願いします。」このメッセージが第一歩だ。礼儀正しく。第一印象は大切だ。確認して送信ボタンを押した。もう一度紙を見る。何度見ても愛おしい。一番お気に入りの硬派なエッセイにそっと栞代わりに挿した。
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カテゴリー: 日記・エッセー
投稿日時: 2021/11/25 14:06

いわごん