忘れがたき炎の物語 第二章「エルフのドラゴン編」

忘れがたき炎の物語 第二章「エルフのドラゴン編」
第7話「元老院」 エルフの都「トト」の美しさとは裏腹に、ガラとセレナの囚われている牢は、暗く陰鬱な空気が漂っていた。壁の上部にある小さな鉄格子から差す僅かな光が、斜めにじめっとした牢屋の床を照らしている。 ドラゴンの純粋な少女は、恐怖で涙を浮かべ、必死でガラに呼びかけていた。 ガラが目を覚ますと、セレナは心の底から安堵した。彼女は一体何が起きているのか分からなかった。先程まで美しいエルフの都を歩いていたはずなのに、あの建物に入ってからの記憶がないのである。それはガラも同じであった。 ガラはおそらく、何か強力な魔法を受けたのだと思った。いや、そもそもエルフの都自体が幻であったのではないかとも思えた。ガラは怒りに打ち震える心を必死で制しながら、冷静な分析をしようと心がけた。何故、エルフたちは我々がこの国に来ることが分かっていたのであろうか。 ガラは、マングー村を出てから今の今まで、魔導士たちの追っ手を一度も見なかったのである。あれ程までにオーブに執着していたアングラは、何を考えているのか。ハーフリングのニコが指摘した通り、本当に彼らもエルフのドラゴンを追っているのであろうか。
判虹彩
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