塵は塵に 後編③

私はずっと人間以外の何者かになりたかった。 もし願うなら、私は生まれながらに嵐ならよかった。雷ならよかった。大津波ならよかった。太陽ならよかった。神ならよかった。悪魔ならよかった。私がそれらになることで、多くの人間から恐れられ、信仰され、畏怖を抱かせ、強く印象を焼き付け、心の深層に侵食する。 私がそれらになることで、皆が私に注目し、見下されるのではなく、見上げられるような、軽蔑ではなく、敬愛のような、唾を吹き掛けられるのでは無く、むしろ腫れ物扱いでも良いから多くの人間に崇められるような、多くの人間の下にではなく、多くの人間の上に立つような、そうなることで不遜に傲岸に立ち振る舞えると、そう思った。 そうすれば、こんな惨めな人生から脱却できる。新たな存在として、生を受ければ、ようやく自分を愛せると思った。 突然、窓から光が差し込む。昼の世界で湯浴みしていたはずの太陽がようやく目覚め、夜を追い出していた。その途中で光と闇が混ざり合い、夜の青と朝の赤が対立し、二色が混ざって、その境界に紫が生まれていた。夜明けが来たのだ。 日の光が私の方へ伸びる。無意識に私も光の方へ手を伸ばす。ゆっくりと手と日の光が重なる。その瞬間、妙なことが起った。伸ばしたはずの手からちりちりと音が立ち、煙が上がっていた。すると次第に手が砂のような粒へと変化し、ついにはばらばらに崩れて落ちたのだ。砂状にぐずぐずになった手はそのままどしゃっと床に落ち、足元には砂の山ができていた。 痛みは無かった。血は流れなかった。ただ、不思議と冷静だった。非科学的な光景を目の辺りにして、現実味が吹っ飛んだ訳でもなく、ただそれが宿命のように感じた。
高野豆腐
高野豆腐
優しくしてちょんまげ(○ٹ○) 小説とかノウハウ無しに感覚で書いてるから、 見るに耐えない可能性が微レ存。 未熟者なので、多目に見てやってくださるとありがたいです。<(_ _)> ちなみに更新おそおそ人間なので、どうかご承知を。 あとハートとかコメントをしてくれると嬉しすぎて月までぶっ飛んで、月面に星条旗の旗立てちゃうので気軽にドシドシください。          /⌒ヽ    ⊂二二二( ^ω^)二⊃         |    /       ブーン          ( ヽノ          ノ>ノ      三  レレ