廃ビルの屋上で

 俺は今、廃ビルの屋上で1人、空を見上げていた。すぐ近くには、ひどく俺に懐いたカラスがいた。ここは昔からよく1人になりたいとき、お世話になっていた。大都会のこの街の中で、星が綺麗に見える数少ないスポットなのだ。心が荒んだ時には星を見るのが、1番俺の心に安らぎをくれた。俺はふと、カラスくんに話しかけた。 「なぁ、俺さ。今から死のうと思うんだ。何でそんなことするのか、って思うだろ?いいよ、お前には昔からお世話になったし、特別に教えてやる。そうだなぁ、まずは……」 と、俺はゆっくり昔のことを思い出しながら、語り始めた。 「あー、午後の授業マジダリィ」 昼休みも始まったばかりと言うのに、既に午後の授業へ文句を垂れているのは、俺の一番の親友、亮介だ。亮介は小学校の頃から仲が良かった。だから、俺の家庭事情もよく分かってくれている。 「あ、そういや大雅、現文の課題終わらせたか?」 大雅というのは俺のことで、亮介は忘れっぽいところがあるので、たまに宿題を忘れる。そんなときは俺はいつも見せてやってる。たまに真面目にやってきたときは嬉しそうに俺に見せてくる。 「ああ、終わってるよ。で、それがどうした?」 ごまをするような笑顔で見てくるのでこちらもニコニコしてやった。 「そんな意地悪言うなよ……ほら、俺たち友達だろ?な?」
でんでん
小説家の卵です