二十三、彼の決意 父の思い
両親との約束の土曜日、私は実家の自室で予定よりも早くに目が覚めてしまった。早朝ではあるが、もうとっくに陽は登っている。夏の朝、爽やかな風が吹いてはいたが、輝く太陽は既に余りにも強く、私は東の窓を直視出来ず、開けたカーテンを再び閉じた。
はあ…。私は深く息を吐いた。私でもこれ程緊張するのだから彼の方は余程の事だろう。私は台所へ行き冷蔵庫の中を物色した。
サンドウィッチが作れそうだ。作るとなれば気分も上がってくる。卵を茹でながらベーコンと薄く切った玉葱を炒めていると、たちまち食欲をそそるいい香りがリビングの中に広がる。少し動いただけで身体が汗ばんできたが、私は構わず料理を続けた。
四人分の朝食。四人分を作るのは初めてだ。『四人家族』という言葉が頭に浮かぶ。私はただただそれが嬉しかった。出来上がったサンドウィッチとサラダを両親の分はお皿に盛った。丁度彼からメールが届いていた。朝食を持ってそっちへ行くと返し、私は着替え、家を出た。
両親はまだ寝ていた。道すがら鼓動がどんどん高鳴っていったが、私はなるべく大きく呼吸をし、それを落ち着かせようとゆっくり歩いた。商店街の店はまだ何処も開いていない。
私は初めて彼の店を訪れた日の事を思い出していた。あれから余りにも色々な事があり過ぎて、初めて彼と会った日の事がもう何年も前の事のように思える。
店の入り口が見えてきた。彼が私を見つけ、硝子の大きな扉を開けてくれた。
「ゆり、今日はとてもフェミニンだね! ワンピースだ!」
「うん、自分の両親に会うんだけど、こういう日だからきちんとした格好にした。」
私は両親に彼との事が真剣であると、どうしてもちゃんと伝えたかった。だからこその、この格好だった。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2024/7/15 14:02
最終編集日時: 2024/7/24 21:07
アナ.
伝えたい思いがあります。
沢山の方々に届きますように。