子供たち

子供たち
 小さい頃、母は怒ると凄い剣幕で怒鳴り、私を締め出し鍵をかけた。このまま棄てられるかもしれない…という絶望と恐怖。何が怒りのきっかけになるか分からないので常に怯えて過ごした。  やがて私は大人になり母になる。我が子に決してあんな思いはさせまいと誓った。叱る時も丁寧に理由を説明し、常に努めて冷静に対応した。それでも息子はヤンチャ盛りでなかなか指示が通らない。育児で悩む事が増えた。昔の私はあんなに怯えていたのに、この子は何故こんなのびのび過ごしているのだろう。たまに息子が羨ましくなる。  その日、ふざけた息子は私が回覧板を回しに出たその一瞬で、玄関に鍵をかけた。  チャイムを連打し、ドアの前で 「開けて!開けて!」 と叫ぶ。中から息子の無邪気な笑い声。
ごご茶
ごご茶
主にTwitterで投稿した創作を小説サイトにあげていってます。暗い話とふざけた話が好きです。 https://twitter.com/teagogo5