月影ノ誓  十二

月影ノ誓  十二
第三章:鬼哭ノ断章 第一節:器鳴(うつわなり) ──秋雨が、静かに地を濡らしていた。 木々の葉を打つ細かな滴が、まるで誰かの吐息のように、空から降り続けている。 一行は、北へ向かう街道を外れ、小高い山のふもとにある村──茂守(もしゅ)村へと足を踏み入れた。 「……妙だな。気配が、立ってない」
まき
まき
noteにて創作過程をUP中 https://note.com/dear_lupine5734