独占欲
「今日は此のクラスに転校生が来ます」
梟の担任が畏まったような、緊張しているような様子で言った。教室中はワアワアガヤガヤと騒音に塗れ、どんな奴だろうかと予想大会が始まっていた。そんな中、中央列のディアーノは教科書を投げ捨てて「ほんなら一限目は仲良くなる為にフットボールしようや!」と大声を上げた。周りに座っている山羊が「僕もそれがいいと思います!」と賛成する。それを後列のエヴァンが面白そうに見ていた。予定だと、一限目は数学で二限目は体育。一限目が潰れるということは、実質、二限も遊べるということだ。教室は奇声と咆哮でそれぞれが喜びを表現している。それを梟は逃さずに、首をぐるりと廻して「しっ!」と神経質そうに言う。
「入ってきてくれ」梟は扉に向かって言うと、教卓から少し離れて立った。途端に教室は水を打ったように静まり返る。扉の向こうの転校生は、戸惑うようにノックして、開けた。転校生は濃紺外套の制服の上からバラクラバを着けて顔を隠している。また、手袋と靴下で肌を出さないようにしていた。また、鼻の横らへんから猫科らしい白っぽい髭だけが数本飛び出て、鋭い爪が見える。転校生は困ったような顔をして「初めまして」と切り出した。
「ボニファーツ・コリネリウスです。出身地は首都郊外の中央部です。墓地ら辺の学者学校《Gelehrtenschule》から来ました。希臘語と拉丁語を習って、教養として哲学も習いました。此の学校は保育園から十三年制で、政治倫理学や物理化学も勉強出来ると聞いたので決めました、よろしくお願いします」
わあ、と拍手が巻き起こった。エヴァンも身を起こして拍手し、何処の席になるんだろうとぼんやり考える。俺の隣が空いてるから、もし来てくれたら話がしたいな。そんなことを考えては、机上の叙事詩を二度三度読み返した。その詩を綴じた本は授業で配られたものである。何度読んでも面白い、と思った時だった。梟は面倒そうに此方を指差して「彼の隣へ行きなさい」と言った。ボニファーツは文句も言わず、嬉しそうにすることもなく、ただ真っ直ぐ歩いてきた。エヴァンは自身が紅潮して、心臓が脈打つのを感じた。あまりの緊張に筋肉が硬直して、舌も冷たく感じる。彼は敢えて微笑んで右手を差し出した。
「やあ、俺はエヴァン・ヘレッセンっていうんだ。これからよろしく」
「うん。よろしく」
ボニファーツは優しくその手を握り、上下に揺さ振る。彼は照れ臭そうに笑った。
「好きな食べ物とかある? 俺はフィッシュ&チップスとバゲットサンド。今日も朝食はフィッシュ&チップスだったよ」
「へえ……僕は、苹果が好き」
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2026/7/1 14:11
愛染明王
最近、知識的な要求を満たされたり分かり合えたら喜びが最高値を超えて性欲に直結するのだと気づいた。創作もその一種だと判断した。ゆえに俺が変態化すると創作も細かくなるのでは?という仮説が立てられる。皿うどんが毎日食べたいからいつでもどこでも吸入できる皿うどん作ってほしい