あやかし新婚日記 一日目「祝言と蛍」

あやかし新婚日記 一日目「祝言と蛍」
 屋敷の大広間に集まっているのは、陰陽師とあやかしたち。  長年争いあってきたこの二つの勢力は、一人の陰陽師と一人のあやかしの結婚をもって、ともに和解するという形をとった。  僕は祝言会場の正面に座り、相手のあやかしの登場を待っていた。  右端には陰陽師の権力者たちが座り、左端には狐の面をつけたあやかしたちが集っていた。 「これより、陰陽師とあやかしの婚姻儀式を執り行います」  僕の側近である爺やが霊符に書かれた進行文を読み上げる。 「はじめに新郎のご紹介をさせていただきます。陰陽師の次期当主・安倍春明様でございます」  僕は正座したまま姿勢を正し、会場の両端に座る来賓の皆様に深々と一礼した。 「次に新婦の紹介に移ります。九尾の娘・紗代様でございます」  爺やが進行書を読み上げると同時に、僕の眼前の扉が開き、白無垢に身を包んだ妖狐の少女が現れた。黄金色の四つの尻尾が背中から覗き、宝石のような赤い瞳がこちらを見つめている。その美しさに思わず鼓動が早まった。今日のこの祝言で初めての顔合わせとなったが、人形のような美貌に思わずたじろいでしまいそうになる。
白崎ライカ
白崎ライカ
アニメとかファンタジーが好きで、とうとう小説に手を出してしまいました。 最近はノリと勢いで詩をよく書いています! 自分の好きな時に書いてるので、 不定期投稿です。 すごい今更ですが、誤字癖があります。 どうか温かい目で見て下さると作者は喜びます! 使用しているイラストは画像生成AIで作成したものです! よろしくお願いします〜