『優しい足音と空の果実たち』
村では、月がひび割れるたび、
足音の実がぽとぽと落ちてくる。
硬いのは赤いリンゴみたいで、踏むと空が鳴く。
やわらかいのは透きとおった桃のようで、踏むたびに夢のかけらがこぼれる。
その夜、空にできた階段は、
雲じゃなくて眠るクジラの背中だった。
村人は硬いリンゴを持ち、カンカンと背を叩いて登っていく。
僕はやわらかい桃を選び、静かにそっとついていった。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/8/10 3:50
エデン。
小さい頃からお話と詞を書くのが好きでした。
過去に書き溜めた物語や、最近書いた物語を載せていきたいと思います。
イラスト/ノーコピーライトガール様