ノスタルジアの日記(1ページ目)
私の名前はノスタルジア。ノスタルジア・エンデ。これからこの日記に記すのは、私と、私のただ一人の友である彼との記録である。
私が彼と出会ったのは、凡そ3日前。彼は、美しい少年だった。艶やかな黒い髪を風に靡かせ、白いオンボロの質素なネグリジェを着ている。彼にはどこか、儚くミステリアスな雰囲気が漂っているように感じた。私は、いつの間にか彼から目を離せなくなっていた。いつか友達になれたら、と思うようにもなっていた。その思いが強まる程に、彼を木陰からそっと見つめる回数も増えた。しかし彼はいつも、私の越えられない鉄格子の内側に、そっと佇んでいた。鉄格子を指でなぞっては、何故か悲しそうな顔をするのだ。その鉄格子の内側には、綺麗に刈られた芝生が広がっていて、それとは対照的に、冷たい金属の建物が遠くの方に、静かに、しかしどっしりと構えている。
彼に話しかけると、しどろもどろに
「私はNo.0といいます。貴方は?」
そう、答えた。私も名を名乗り、それからというもの、私達は彼の自由時間に頻繁に会うようになった。私は彼に名を与えた。そんなに大層なものでは無いし、偉そうにしてもいない。いや、人の名前である以上、大層なものである必要性は否めないが、ともかく私なりに悩んで付けた。これからは、彼の名を“クロ”と呼ぶことにする。理由は髪の色。私が彼に惹かれたのは、その艶やかな髪の色だ。彼には、その美しさに見合う男になって欲しい。偉くするような立場にないのに、傲慢にもそう思ったのである。
時は過ぎ、今日もまた彼と会った。クロは今日も、悲しそうに鉄格子を指でなぞって、そして最後には握っていた。それなのに、その理由を悟らせまいとしているのか、クロは微笑み続けた。私はまだ、彼が鉄格子の内側にいる理由を知らない。なぜ彼が微笑むのかも分からない。理解できない。なぜ、コレは私と彼との間を隔てているのだろうか。「なければ良いのに。」気づけば、そう呟いていた。それを聞いた彼が、困った顔をして教えてくれた。
「私も、何度も思いました。それで一度だけ、ここの職員に聞いてみました。この鉄格子が無くなることは、未来永劫ないのだと。そう言われました。こればかりはどうにもならないのです。私がいくら泣こうが、喚こうが、私に自由などないのですから。」また、ふにゃりと笑った。疲れた目もとが、痛々しい。
「それはどうして?どうして、鉄格子はなくならなくて、クロは自由がないの?」
「それは、それは私が実験台だからです。そう易々と実験台を逃すような施設は、あってはなりませんからね。私はあと一ヶ月したら“再起動”をされるそうです。」
「再起動?」
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/6/26 9:20
最終編集日時: 2025/6/28 16:02
あいびぃ
初めまして、あいびぃです!
見つけてくれてありがとう♪
私自身、生粋のアニオタ・漫画オタなのでファンタジーが多めになってます…多分。
詳しいことは「自己紹介」にて!
まだまだ若輩者なので、応援よろしくお願いします!
※❤︎&コメはめちゃくちゃ喜びますので、私を喜ばせたい方は是非!
私の事が嫌いな方はオススメしません。