蝋燭

「ねぇ貴方。近頃春の香りがするようになったと思わない。」 少し開いた障子から月明かりを慈しむように眺める彼女がそうぽつりと呟いた。 僕は大きく息を吸い込んだが、全くわからない。 「僕にはわからないなぁ。あぁ少し障子が開いていたね。寒かったかい。さっき部屋に入った時に閉め忘れたみたいだ。」 障子の隙間から漏れる月明かりを分厚い雲が流れては隠してゆく。 彼女は少し微笑んだ後小さく首を振った。
まんまるちぃず
まんまるちぃず
なんちゃって純文学