無口なもの。

無口なもの。
私には一緒に暮らす恋人がいる。カッコよくて、優しくて、いつも素敵な表情を崩さない、そんな王子様みたいな君。彼女ながら完璧だと思う。ただそんな彼にも苦手なことがあって。彼は無口だ。お話しするのが恥ずかしいのだろう。彼は一度も口を開いたことがない。ただ、私たちは心が通じ合っているから、私と君の関係に言葉なんて必要なかった。 ある日、彼が姿を消した。どこを探しても見つからない。名前を呼んでも返事がない。一瞬、不審者が家に入ってきたのか、とも疑ったが、幸い荒らされた形跡はない。そんなことを思いながら探していると、彼は見つかった。私の不注意だった。彼はすぐそばにいた。ただ、いつもの場所にいないことに焦った私には見つけることができなかっただけであった。私は彼を丁寧に大切に抱きしめた。彼氏なんだから大切にしてあげないと。 私は彼を見つけると、安心して仕事に向かう。 「いってきます!!」 君からの返事はない。でもそれで満たされていた。
まるてん
まるてん
文章力上げるために始めました...! 少しでもいいなと思ってもらえたら嬉しいです✨ 良ければフォローm(((( jkの文章力には限界がある(定期