波の前日
『ピシナム』に勤め始めて三カ月が経つと、受付業務だけではなく清掃作業も任されるようになっていた。十九時から二十一時までを受付、それから二時間の休憩をはさみつつ午前五時まで清掃に入る。これが近ごろのルーティン。
レジ内のお金に誤差が出ていないか点検していると、カシャンと鍵を置く音が聞こえた。
Rだ。
「……あ、りがとう、ございま……す」
その日のRは泣いていた。出口へと向かう彼女は足を引きずっているように見えた。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2021/9/28 6:54
久々原仁介
ただ、僕を見てくれ。
この弱い、僕を